2014/09/28(日)
★『スメルズライクグリーンスピリット SIDE:A/SIDE:B』永井三郎(フュージョンプロダクト)
「ド田舎に住む学生、三島(みしま)はクラスメイトの男子からイジメを受けていた。理由は三島が“ホモっぽい"から。実際に男性が好きな三島は抵抗するすべもなく、隠れてする女装だけが心の拠り所となっていた。ある日、三島がいつもの様に屋上で1人の時間を満喫していると、自分が以前なくてしまった筈の口紅を持ったイジメグループのリーダー・桐野(きりの)を目撃してしまう。彼はこっそりと三島の使った口紅を自らの唇に塗ろうとしていたのだった……。」(Amazonより引用)
スメルズライクグリーンスピリット SIDE:A (POE BACKS) (ポーバックス Be comics)
- 作者: 永井三郎
- 出版社/メーカー: ふゅーじょんぷろだくと
- 発売日: 2012/05/24
- メディア: コミック
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スメルズライクグリーンスピリット SIDE:B (POE BACKS) (ポーバックス Be comics)
- 作者: 永井三郎
- 出版社/メーカー: ふゅーじょんぷろだくと
- 発売日: 2013/04/24
- メディア: コミック
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とてもよい物語に出会えたと震えました。
三島、桐野、夢野の中学生の男の子3人(+先生の柳田)のそれぞれの物語というか描かれ方がとても丁寧で素敵。
ときおりギャグを含んだ絵柄。
内容としては結構深刻なテーマというか真面目なものが流れているのに、それをさらりと流すようにしていて、あまり感じさせません。
桐野の複雑さとか、三島の芯の強さとか、夢野の実直さと馬鹿さとか、柳田の報われなさと異常(な変態)さとか。そしてそれぞれの母親という存在の大きさとか。
3人+1人の向かった行き先、選んだ未来というのが本当に愛おしくて切ない。
誰からも認められずにいてもがいていてもそれでもそこにあった輝きとか悲しみとか決意とか、月日は流れて得たものや失ったものの大切とか焦燥とか。
読後はなんだかいろいろな気持ちが綯い交ぜになってほわああああああってなりました。
すごく胸をギュッと掴まれる感じが辛かったけど大切な作品になりました。
絵柄はとてもきれいで好み。
三島がとても可愛い→美しいです。
そういえば三島の端正さに惹かれて買ったのを思い出しました。
★『スイートプールサイド』押見修造(講談社)
「毛が生えないことに悩む中学1年生の太田年彦は、同じ水泳部の毛深い女子、後藤綾子がちょっとうらやましい。ある日、放課後のプールで後藤に呼び止められた太田は、後藤にとんでもないお願いをされてしまった! 「太田くん‥あたしの毛を剃ってくれない‥?」」(Amazonより引用)
中学生男子が中学生女子のムダ毛を剃るというそれだけの話を書いてしまうすごさ。
押見修造先生すごい。
なんだかよくわかりませんが、この誰にでもあるけれどそれは決して前面に出されるものではない、みたいな願望を押見先生の漫画はあえてオープンに描かれていてそれをみながらなんだかうわあぁと思いながらも微かな共感を覚えつつもうわあぁとなってしまうような恥ずかしさを抱えつつ読んでしまうような気がします。(既読惡の華、漂流ネットカフェ、僕は麻里の中、デビルエクスタシー等々)
リアルで結構読むの辛い?のになんだか覗いてしまいたくなって読んでしまう。
そんな感じで押見先生の漫画はいつも読んでしまいます。
★『サドマゾヒスト』伊東せか(リブレ出版)
「ゲイ向きSMクラブのナンバーワンS嬢・怜様は、冷たい美貌とカゲキなお仕置きぶりで大人気。でも本当は「隠れドM」で、一生懸命ドSになりきっている「尽くし系」な事を、気になるスタッフに知られてしまい――!?
性癖ごと全身全霊で愛してくれる(でもいじわるな)俺様彼氏との大恋愛」(Amazonより引用)
題名だけで読んだ作品。
ドSというのにはさほど興味ありません。俺様も基本的に興味ありません。
しかし、ドMという設定には興味津々なのです。どんなMキャラが出てくるのかという好奇心だけで手にとりました。
題名はこんな感じですがそれほど内容にマニアックさはありません。
ギャグよりのストーリーにエロも有り。さくっと読める感じの作品でした。
主人公の怜の心の声モノローグがなかなか面白かったです。
★『臆病者は恋をする』上田にく(エンターブレイン)
「ゲイの明戸は、告白されれば誰とでもつきあうが、恋人になると長続きしない。
好きではない人に触られるのが嫌で、たとえ恋人でも冷たい態度をとってしまい、振られてしまうのだ。
そんな明戸の偽の恋が終わるたび、ヤケ酒につきあう千葉は明戸に恋をしていた。
元彼たちのように冷たくされるのが怖くて、友人のポジションから抜け出せない千葉だったが、またしても明戸に恋人ができてしまい……。」(Amazonより引用)
はじめて読む作家さんでした。
なかなか薄味な印象。
大きく分けて4つのお話が入っています。
全て恋の始まり、を描いた感じ。
「ミスターハニーの恋模様」のミキが可愛かったです。
★『ミュージアム』巴亮介(講談社)
「超戦慄猟奇サスペンスホラー。
雨音が響く6月、“私刑”という名の無慈悲な裁きを執り行うために”蛙男”は現れる。
“ドッグフードの刑”―――。“母の痛みを知りましょうの刑”―――。“均等の愛の刑”―――。“針千本のーますの刑”―――。“ずっと美しくの刑”―――。悪魔の蛙男、”私刑”執行。」
猟奇的なものは苦手です。
グロイ系とかもぬおぉ…となります。
でも読んでしまうのは、何故こんな事件が起こったのかという動機にとても好奇心を駆られるから。
このミュージアムで行われる殺人方法はこれまたとてもグロイ。
想像しないで淡々と傍観した方が良いです。
全3巻で、とてもテンポよく続きます。最後のターゲットがどうなるか、ハラハラハラハラハラ。
最後の終わり方は個人的に好みではないですがよい感じです。
妙なリアルさと余韻が。
3巻に収録されている読み切りも、個人的には好みではないですが、余韻とか構成とかが良い感じです。
なんだかこう、ただでは終わらせてくれない現実、これからも続いていく現実というものを感じさせてくれます。
個人的にこういうところが好みではないのですが、こういった雰囲気の作家さんすごいなと思うのでよい感じです。